遺言書の作成について

【Q】遺言書を作る必要があるのでしょうか?

【A】私の子供たちは仲が良いから、私には子供が無いから、遺産と言うほどの財産は無いから等々理由はさまざまなのですが「遺言書を作る必要があるのでしょうか?」と、よく聞かれる質問です。ある方がその著書で「どこに何があるのか判らない財産を、みんなが納得いくように決めることを、家族を亡くした悲しみの中で、電卓をたたいて決めろと言うのですか!」と言っていました。仲の良い子供さんたちもいろいろな感情を持っていますし、今はあなたの財産だから問題になっていないのです。子供が居ないからは、最も危ない例ですがそれは法定相続分の説明を読んでいただければ判ると思います。あなたの思いと法律で定めている基準とでは違いがあることもあります。あなたの財産があなたの思っている相続人に渡らずに「笑う相続人」(あなたが想像していなかった方)に渡さなければならなくなる事もありえるのです。また遺言書は、財産の処分だけが目的はありません。あなたの「想い」を書くこと、伝えること、その一部を財産の処分と言う形で言い表すことなのだと想うのです。法律家の中で使われる遺言(いごん)とは書面の中で法律的に効力を有する部分・財産処分を示しますが、一般的に使われる遺言(ゆいごん)の言葉は財産処分とともに又はそれよりも重要な意味を持つ故人の遺志「想い」を伝えることなのだと思うのです。

 

【Q】遺言書の種類(類型)について教えて下さい

【A】遺言には、普通の方式による遺言と死亡等の危急に迫った時にする特別の方式による遺言があります。そして普通の方式による遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があります。

 自筆証書遺言:その全文、日付、及び氏名を自筆し、これに印を押さなければなりません(民968条)。費用が安いメリットがある反面、後日に見つけてもらえなかったり、家庭裁判所での検認後に開封しなければならない等のデメリットもあります。

 公正証書遺言:あなたの家庭の事情や財産の内容がわかる資料、住民票や印鑑証明書などを準備したうえで公証役場で口述した内容を公証人が遺言書として筆記します。手数料(含む証人二人が必要)がかかるデメリットはありますが、保管に問題がないことや家庭裁判所での検認を要しないなど後日の問題が少なくてすみます。当事務所では、特別の事情が無ければ公正証書遺言をお薦めしています。

 秘密証書遺言:自分で遺言書を作成し、その封書を公証役場で保管してもらいます。遺言書自体は公証されてませんので、後日に内容についての紛争になったり、検認手続きが必要であることなどからあまり使われていません。

 

【Q】私の介護は、長男の嫁がしてくれています。感謝の気持ちを財産相続でしたいのですが?

【A】今、他のお子様が長男のお嫁さんに感謝していたとしても、遺言書を書いておくべきです。お嫁さんは相続人ではありませんから相続財産をもらえません。「寄与分が認められませんか?」と聞かれることがありますが、寄与分は相続人にしか認められません。相続人でない方に介護を頼んでいるのなら、その方をタダ働きにさせないため、そして亡き後のトラブルを避けるためにも遺言書を書いておくことをお勧めします。その際、他のお子様たちにも説明して置いてください。

 

【Q】遺言公正証書の作成手数料について教えてください。

【A】日本公証人連合会の定める公正証書作成手数料により決められています。遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算し、又相続人・受遺者ごとに計算します。したがって、各相続人ごとに相続させる財産の価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。その他に遺言加算祭祀の主宰者の指定の手数料が必要です。

目的価額/手数料

 100万円以下/5,000円、200万円以下/7,000円、500万円以下/11,000円、1,000万円以下/17,000円

 3,000万円以下/23,000円、5,000万円以下/29,000円、1億円以下/43,000円

遺言加算

 目的価額の合計額が1億円以下の場合、1通につき11,000円

祭祀の主宰者の指定 11,000円

(最新の情報については、問い合わせをして下さい)

 

公正証書の原本、謄本、正本について

 原本

 原本とは、確定的なものとして最初に作成したオリジナルの文書です。捺印した文書であれば、朱肉の付いているものです。
通常の契約書であれば、当事者双方が調印して保持する書面のことですので、二者間であれば2部となりますが、公正証書の場合は、作成者が公証人になりますので、原本は1部のみとなります。

 公正証書の原本は、公証役場に厳重に保管され、事変を避ける場合や裁判所の命令等がある場合を除いては、公証役場の外へ持ち出すことが禁じられています。(公証人法第25条)
そのため、紛失や盗難、改ざんなどの心配がありません。

 謄本

 謄本とは、原本の存在と内容を証明するために、権限のある公務員が、原本の内容をそのまま写して作成した書面のことをいいます。
公正証書の謄本においては、公証権限を有する公証人が、正本と同一内容の文書を作成し、作成年月日と原本に基づいて作成した旨を附記します。

 当事者が原本に署名捺印した部分については、記名を印字したものに代えることが一般的となっていますが、遺言や任意後見契約の公正証書においては、完成した原本のコピーを用いて作成することが多いです。
公正証書においては、原本が公証役場に保管されるため、当事者本人に交付される書面は、この謄本ということになります。

 謄本は、公正証書の内容を証明するものですが、謄本そのものに法的な効力があるものではありません。

 正本

 正本とは、謄本の一種で、原本の作成権限がある者によって原本に基づき作成されます。正本は、原本と同一の効力を有する書面のことです。

登記の申請や強制執行の申立など、通常、原本が必要な手続きにおいて使用するために、この正本が交付されます。

公正証書の正本には、正本である旨、交付請求した者の氏名、作成の年月日と場所、公証人の署名押印が付されます(公証人法第48条)。